この記事ではポラロイドカメラにおける露出を解説・考察する。
フィルムと光の関係
カメラはレンズから入ってくる光をコントロールし、その光を未使用のフィルム(デジタルカメラやスマートフォンではセンサー)に当てる(=露光する)ことによって、ファインダーから見た景色をフィルムに映し出す。
ポラロイドカメラもその仕組みは同じで、ポラロイド写真の仕上がりは撮影時の自然光や照明の光の具合に大きく左右される。
多くのポラロイドカメラにはAE(Auto Exposure=自動露出)と呼ばれる機能が付いていて、この機能がカメラに取り込む光の量を自動で調節しているため、場所や時間が変わって光の具合が変化しても撮影時にカメラをいちいち操作する必要がない。
ただ、困ったことにAEは常にベストな調節をしてくれるわけではなく、写真の仕上がりが意図せず、明るすぎたり、暗すぎたり、AEが原因で手ぶれが起こってしまったりという事が多々ある。
ポラロイドカメラはカメラの知識がなくても、誰もが簡単に撮影が出来るようデザインされているが、カメラがどのような仕組みで光を取り入れ、それが写真の仕上がりにどのように影響を与えるかを理解しておくことは、フィルムの無駄使いを減らし、写真の出来上がりを自分のイメージに近づけるのに役立つはずだ。
写真の明暗は"露出"によって左右される。今回は"露出"とは何か。それをポラロイドカメラでどのようにコントロールするかを考えていこう。
露出とは
"露出"とは撮影時にカメラのレンズを通してフィルムに当てる光の量を指す。この光量によって出来上がる写真の明るさが決まる。
露出は "絞り" "シャッタースピード" "フィルム感度"と呼ばれる3つの要素の組み合わせで決まる。カメラのAE機能はこの3つを状況に合わせて自動で調整してくれる。
絞り(アイリス)
"絞り"とはカメラに入る光の入り口の大きさ。入り口を大きくすればカメラに入る光量は増え写真は明るくなり、小さくすればカメラに入る光量は減り写真は暗くなる。
また、絞りを変えることによって、写真のピントが合う範囲(=被写界深度)が変わる。光の入り口を大きくすればピントが合う範囲は狭く(=被写界深度が浅く)、小さくすればピントが合う範囲は広く(=被写界深度深く)なる。
・F値が小さい=光の入り口が大きく写真は明るくなる、被写界深度は浅くなる。
・F値が大きい=光の入り口が小さく写真は暗くなる、被写界深度は深くなる。
ポラロイドカメラでは絞りを自分で調節できるモデルは少ない。
シャッタースピード
"シャッタースピード"とはカメラに入った光をフィルムに当てる時間の長さ。シャッタースピードを遅くすればフィルムに当たる光量は増え写真は明るくなり、速くすればフィルムに当たる光量は減り写真は暗くなる。
シャッタースピードが遅い
また、シャッタースピードを速くすれば動きのある被写体を静止しているかのように撮影する事が出来る。逆に遅くすれば動きのある被写体の躍動感のある写真を撮影する事が出来る。
ただ、シャッタースピードが遅いほど写真に手ぶれが生じやすくなる。
ポラロイドカメラは室内や夜など暗い場所での撮影では手ブレが非常に起こりやすいが、これはカメラが多くの光を取り込むためにシャッタースピードを遅めているからだ。
フィルム感度
"フィルム感度"とはカメラに取り込んだ光に対するフィルムの感度。フィルム感度が高ければ少しの光量でも明るい写真になり、フィルム感度が低ければ多くの光量でないとと明るい写真にならない。
フィルム感度が高い
フィルム感度が低い
また、フィルム感度が高くなるほど写真の画質は悪くなり、フィルム感度が低くなるほど画質は良くなる。
フィルム感度は一般的にISOまたはASAという数値で表される。
ポラロイドカメラでは、使用するフィルムによってASA感度が変わる。SX-70用の低感度フィルムはASA160、600シリーズ用の高感度フィルムはASA640となっている。
低感度フィルムを使用するSX-70での撮影は多くの光量が必要なため手ブレが起こりやすくなる。
露出補正
ポラロイドカメラ多くはマニュアルで個別に"絞り""シャッタースピード""フィルム感度"を設定する事は出来ない。露出は基本的にAEが決定したものに依存する。
しかし、露出補正(=明暗コントロール)で露出を大まかにコントロールする事は可能だ。
・露出補正をプラス側に=写真の出来上がりが明るくなる=手ブレが起こりやすくなる
・露出補正をマイナス側に=写真の出来上がりが暗くなる=手ブレが起こりづらくなる
Witten by 松永